琉球王国を導いた宰相 蔡温の言葉
今朝読了したのがこちら。
琉球王国を導いた宰相 蔡温の言葉
佐藤 亮
単行本が2011年に出ていたので、タイトルは聞いたことがありましたが、その頃は私まだ超琉球史ビギナーで、蔡温と言われてもピンと来ず。手に取る所まで至っていませんでしたが、2月末に沖縄に行ったときにジュンク堂で新書版が目に留まり買ってみました。
新書だし、ちょっくら軽く読むか~
くらいの気持ちで購入しましたが、
読んでみると思ったより面白い&興味深いで、
2日で一気に読了。
時代背景と蔡温の略伝からはじまり、
『自叙伝』(蔡温の自伝)
『独物語』(王府政治マニュアル)
の全訳と、
上記2冊以外からの蔡温の言葉の抜粋で構成されています。
読んでいると、
政治とは、基本方針を決定し、それにもとづいて政策を立案・実行することである。
ただし、その中には、全体の根幹をなすものと、枝葉にすぎないものがある。為政者はこの差分をよく理解し、全前者に注力しなければならない。
(P.107より引用)
百年に一度冊封使が渡来するときは、接待費が膨大なものになる。それに備えて、平素からすこしずつ費用をたくわえておくべきである。
(P.111より引用)
などなど、
まるで現代のビジネス書や政策関連本のよう。
『独物語』はいろいろなことが詳しく多岐にわたって述べられていて、マニュアルという表現がぴったり。
書かれたのは何百年も前なのに、現代にも通ずる知恵が端々に散りばめられているように感じました。(現代語訳されているから余計そう感じるのかもしれませんが)
『自叙伝』の方も蔡温の人生全てが均等に綴られているわけではなく、項目の選択にメッセージ性があるところがさすが、名宰相。
読み返したくなる一冊でした。
☆☆☆
蔡温は久米村の出身。
現在も那覇市久米の天尊廟の一角に碑が建っています。
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そして、「うん⁉」となった箇所が。
『自叙伝』の評価事件
冊封使節団の清人が琉球に持ち込んで売りたい商品の代金が、琉球側の想定買取予算をオーバーしていたことから、問題が生じ、蔡温がその解決に当たったという事件。
ちょっと待てよ。こんなエピソードどこかで聞いたことあるぞ。
(もちろんこの本も初読で、他の蔡温関連の本も読んだことない。)
あっ!そうだ。
『テンペスト』上巻でこんな出来事あったぞ。
もしかして、テンペストのエピソードの元ネタか??
他にもちらほら何だかこれと似たようなエピソードや言葉を聞いたことあるなぁという項目が幾つか。(外交やお酒、琉球の立ち位置など)池上永一さんも蔡温の著作読んでらしたのかな。
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時代背景と蔡温の解説から始まるので、予備知識なくても問題ナシです。