琉球紀行

琉球歴女プニが、琉球史を中心に綴ります。

御冠船踊と組踊「執心鐘入・銘苅子」 

御冠船踊と組踊「執心鐘入・銘苅子」 

 

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2019.10.4/5

国立劇場おきなわ 野外公演 特設御冠船舞台

 

本格的に組踊や琉球舞踊を生で見るのは初めて。

 

ここ最近組踊300周年で話題だったこともあって、

組踊展に行ったり

琉球伝信録を観に行ったり

思五郎が行くを読んだり

組踊ワークショップに参加したり

と組踊誕生の背景や構成について、ついてある程度は予習したうえで初観劇。

 

 

300年前の首里城御冠船舞台を再現ということで、

首里城の御庭を想像してみたり、

冊封使になった気分を想像(笑)したりもしながら鑑賞してみました☆

 

 

  • 御冠船踊

御冠船踊は2日とも同じ内容

 

入子躍

入れ子のように円の内側に小さな円が入って、三重になって踊る形式

ステージガイド 華風 2019.10より引用

 

音楽に乗せて、円状に若衆(赤い衣装)と二才(青の朝衣)が歩きながら、

若衆と二才が円の内側と外側を入れ替わりながら、

風車、扇子、花(菊)、銭太鼓と若衆の持つ小道具が変化しながら、

大きな動きや変化があるわけではないんだけれど、

万華鏡みたいで見ていて飽きない✨

今回の公演で一番好きな演目でした。

 

若衆は、王国当時と同じように13-18歳位であろう子どもたちが踊っていて、それがまた愛らしくて、可愛い✨

琉球王国時代の踊童子たちもこんなんだっんだろうなぁ~

 

老人老女

老人による祝言と踊り

 

おい!おじいさん。あんなに杖ついてヨボヨボしてたのに、このしっかりした踊りっぷりは何なんだ!!

あんなに足腰しっかり踊れるんなら杖は要らないし、もっとサッと立てるだろ!

というツッコミは演目の進行に対して入れたくはなったのですが、舞踊の方はベテランの方の安定感抜群の踊りでした。

 

 

扇子躍

祝儀舞踊。今日の「特牛節」

 

扇子の動き、踊りの所作、紅型の衣装、演奏どれも素敵だった。

これも見ていて飽きないし、美しかった。

 

 

  • 組踊

「執心鐘入」

 

テンペストで初めて知って以来、テンペストのドラマでほんの一部だけ見たことがありましたが、それからかれこれ8年ようやくフルバージョンを生で見ました。

組踊ワークショップで聞いた解説も鑑賞の役に立ちました☆

小僧たちの掛け合いも面白かったし、本当に大きな鐘が出てきたり(鐘の底にはコマか何かついてたのかな?2人でガラガラ転がして鐘は登場しました)、女が傘に隠れたら顔に赤い線がついて鬼に変身したり、「クスッと笑える」見どころが多くて面白かったです。

 

 

「銘苅子」

執心鐘入と比べると「クスッと笑える」というような場面は少なかったですが、その分「組踊」的な、台詞の言い回し、所作、地謡により注意がいきました。

銘苅子といいながら銘苅子よりおめなりとおめけりの出番の方が多かった気がするのは気のせい??

天女の衣装が豪華なのは当たり前だけど、

銘苅子、農民ってさ。衣装豪華すぎない?っていうツッコミは入れたくなりましたが、ま、舞台だからね…今でもドラマって現実とちょっと違うよなってことあるし、昔もそうだったんだろうってことにしておこう。

 

 

  • からくり仕掛け花火  

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点火とからくりの披露が終わった後のからくり花火

 

ぐるぐる回転している筒から花火が噴き出したり、折りたたんであった絵や文字や飾りが開いたりと、「からくり」そのもの。

花火の火の方も1か所からだけではなく何か所からも順番に、ときに同時に火が出て、火も勢いよく噴き出していて、見ごたえありでした。

1日目と2日目で少しからくりの出方が少し違う気もしましたが、全く同じものを作るのは現代と違って難しかったんだろうなということも感じました。王国時代だってそうだったんだろうから、現代の花火みたいに絶対こうっていうのは無いよなと。

 

 

 

  • 復元舞台

この公演では300年前の舞台を再現して、そこで上演するというのも大きな特徴の1つ。

舞台背景に幕がない、三方が見渡せる、登場人物の出入りが橋掛り一か所からのみというのが王国時代の組踊舞台の特徴だそうです。

 

国立劇場おきなわには、当時の舞台の復元模型が展示されていました

 

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で、実際の舞台はこんな感じ。

 

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  • 公演全体の感想

 

観劇してみてですが、ワタシ、琉球舞踊が結構好きかもって思いました。

手の返しとか動作とか見入っちゃうし。

組踊もモチロン良かったけど、入子躍がこの公演で一番好きだった。次が扇子躍。

もうちょっと舞踊いろいろと観に行ってみたいかも。

 

それと、紅型。

博物館などで展示されているのを何着も見てきたけど、それを実際に人が着る、着て動くというのが、この公演を通して何種類もの紅型衣装を見る中でより実感として湧きました。

衣装が風に吹かれてヒラっとなったりするのは野外公演ならで、それも私的には見どころでした。風の吹き具合もちょうどよかった。風がなさすぎず、強すぎず。2日間とも天気が良かったの奇跡だね。

 

(言わせて。テンペストファン的感想。

初めて組踊と琉球舞踊を生で見て嗣勇の人間像をよりリアルに感じられたし、

1838年の台本を用いる」って尚育王冊封の時のじゃん!ドンピシャでテンペストテンペストファンとしても観劇出来て最高でした)

 

 

今回は琉球王国時代当時に近づけた演出で進行されたので、

現代バージョンも観てみたいなと思いました。

 

滅多にない貴重な舞台を観ることができました。

本当に行って良かったっ❕❕❕

 

 

 

 

まだまだ伝統芸能については勉強不足ですので、表現や内容が適切でない箇所があるかもしれません。その点を念頭に私、プニの感想としてお読みください。

参考 御冠船踊と組踊「執心鐘入・銘苅子」フライヤー、ステージガイド 華風 2019.10